【縣居通信7月】
賀茂真淵記念館収蔵品紹介2
収蔵№834真淵書簡余野子あて「しも月八日」
この書簡は、賀茂真淵が女性門人の鵜殿余野子(うどのよのこ)に宛てたものです。文中に出てくる〝七夕まつりの一巻〟は『賀茂翁遺草』に所収されている「乞巧奠(きこうでん)」と思われ、そこに宝暦甲戌(四年)(1754)7月1日の日付があるので、この書簡の年代も宝暦の初めの頃と推定されます。文中の〝名道(なみち)〟という名は、小山正氏著『賀茂真淵伝』に掲載されている「賀茂の川水」や「賀茂翁家集」等に見られ、門人の一覧「縣居門人録補遺」の中にあります。また、名道は、『賀茂の川水』の中に〝きみを戀ともと聞夜の蟲の音もあるかなきかに秋ふりにけり〟の歌を残しています。
鵜殿余野子(生年未詳~1788年)は、江戸時代中期の武士、儒学者、漢詩人であった鵜殿士寧(うどのしねい)の妹で県門三才女の一人です。紀伊徳川家の江戸邸に仕え、女房名〝瀬川〟にちなんで〝清子(きよいこ)〟とも言います。この書状巻は、賀茂真淵を支えた女流歌人との交流が分かる貴重な資料です。
